はちみつは、1歳を過ぎるまで与えない
加熱しても菌は死なない。生後5か月が離乳食のはちみつで亡くなった事例がある
1歳を過ぎるまで待つものは、いくつかあります。飲みものとしての牛乳を待つのは、鉄欠乏性貧血を防ぐためです。はちみつだけは理由が違い、中毒を起こす菌が入っているおそれがあるため、ごく少量でも与えません。授乳・離乳の支援ガイドは、乳児ボツリヌス症を引き起こすリスクがあるため1歳を過ぎるまでは与えない、としています。
左は危険な例、右は安全な例です。
症状の出かた(東京都・厚生労働省)
| 便秘が数日間続く | 東京都が最初に挙げている症状です。1歳未満では、ふだんより回数が減った程度でも数日続けば当てはまります。 |
|---|---|
| 全身の筋力が低下する | 筋肉がゆるむことによる麻痺の症状が特徴です。 |
| 哺乳力が落ちる/泣き声が小さくなる | 厚生労働省は、首のすわりが悪くなることも挙げています。 |
| 重症例では呼吸困難 | 厚生労働省は、ほとんどの場合は適切な治療により治癒するが、まれに亡くなることもあるとしています。 |
- しないこと:はちみつそのものを与えない
離乳食に甘みを足す目的でも、薬の代わりでも、1歳を過ぎるまで与えません。 - しないこと:はちみつ「入り」の加工食品も与えない
飲料やお菓子にも入っています。原材料名の欄に「はちみつ」「蜂蜜」があるものは避けます。事例の製品にも1歳未満には与えない旨の表示がありました。表示はあっても、見なければ届きません。 - しないこと:加熱すれば大丈夫、と考えない
芽胞を死滅させるには120℃で4分以上の加熱が必要です。東京都は「100℃程度では、長い時間加熱しても殺菌できません」としています。家庭の調理や、焼き菓子の加熱では死にません。 - すること:便秘が数日続き、元気がないときは受診する
風邪や機嫌の悪さと見分けにくい症状です。便秘と、哺乳力の低下や泣き声の変化が重なったら、はちみつを与えていないかを含めて医師に伝えます。 - しないこと:レシピや人のすすめを、原材料を見ずに受け入れない
離乳食のレシピに、はちみつを使うものが混ざっています。預けるときは、祖父母や一時預かり先にも「1歳まではちみつは出さない」と言葉で伝えます。死亡事例が公表されたのは2017年なので、それ以前の育児の知識には入っていません。 - しないこと:井戸水を乳児に与えない
厚生労働省は、はちみつを食べていない例も報告されているとし、国内では井戸水を原因として挙げています。
何が起きたか(東京都・厚生労働省の公表)
2017年2月22日、都内の医療機関から保健所に連絡が入りました。 「5か月の男児が入院しており、神経症状が出ている。 離乳食としてはちみつを与えられているとのことである」。
この子は2月16日からせきと鼻水があり、20日にけいれんと呼吸不全を起こして救急搬送され、 翌日に別の医療機関へ転院していました。 発症の約1か月前から、離乳食として市販のジュースにはちみつを混ぜたものを飲んでいました。 便と、家庭に保管されていたはちみつの両方から、ボツリヌス菌が見つかりました。 3月15日に食中毒と断定され、3月30日に亡くなりました。 国内で初めての、はちみつを原因とする乳児ボツリヌス症の死亡事例です。
厚生労働省は、この事案について「製品に1歳未満の乳児に与えない旨の表示がなされていた」 と書き添えています。表示はあったということです。
ボツリヌス菌は、芽胞という殻をかぶった状態で、土の中など 環境のあちこちにいます。大人の腸には他の細菌が定着しているため、 飲み込んだ芽胞は腸の中で増えることができず、ふつうは何も起こりません。 ところが1歳未満の赤ちゃんは腸内環境が整っていないため、 飲み込んだ芽胞が腸の中で発芽して増え、毒素を出すことがあります。
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この項目の根拠
- ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。(厚生労働省)(新しいタブで開きます)
ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてからにすること。乳児ボツリヌス症の症状として便秘、ほ乳力の低下、元気の消失、泣き声の変化、首のすわりが悪くなることがあげられ、ほとんどの場合適切な治療により治癒するがまれに亡くなることもあること。ボツリヌス菌は土壌などに広く存在し、大人は腸内で他の腸内細菌との競争に負けるため通常は何も起こらないが、赤ちゃんは腸内環境が整っておらず腸内で菌が増えて毒素を出すため症状が出ることがあること。ボツリヌス菌は熱に強いため通常の加熱や調理では死なないこと。ハチミツは一般的に包装前に加熱処理を行わないため菌が混入していることがあること。ハチミツを食べていない例も報告されており、国内では井戸水が原因として挙げられること。 - 1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないでください(東京都・PDF)(新しいタブで開きます)
乳児ボツリヌス症の予防のため、1歳未満の乳児に、はちみつ等ボツリヌス菌の芽胞に汚染される可能性のある食品を与えるのは避けること。2017年2月に都内ではちみつが原因と推定される乳児ボツリヌス症の発生があったこと。乳児ボツリヌス症は1歳未満の乳児に特有の疾病で、経口的に摂取されたボツリヌス菌の芽胞が乳児の腸管内で発芽・増殖し、その際に産生される毒素により発症すること。症状は、便秘が数日間続き、全身の筋力低下、哺乳力の低下、泣き声が小さくなる等、筋肉が弛緩することによる麻痺症状が特徴で、重症例では呼吸困難になる場合があること。芽胞は加熱や乾燥に対し高い抵抗性を持ち、死滅させるには120℃4分以上またはこれと同等の加熱殺菌が必要で、100℃程度では長い時間加熱しても殺菌できないこと。 - 蜂蜜を原因とする乳児ボツリヌス症による死亡事案について(厚生労働省 平成29年4月7日事務連絡/別添:東京都福祉保健局 報道発表・PDF)(新しいタブで開きます)
東京都足立区において、乳児に対し離乳食としてジュースに蜂蜜を混ぜて与えたことによる乳児ボツリヌス症による死亡事案が発生したこと。別添の東京都福祉保健局報道発表資料(平成29年4月7日)に、都内においてはちみつの摂取が原因と推定される乳児ボツリヌス症による死亡事例があったこと。2月22日に都内の医療機関から保健所へ「5か月の男児が入院しており、神経症状が出ている。離乳食としてはちみつを与えられているとのことである」と連絡があったこと。患者は足立区在住の5か月の男児で、2月16日からせき・鼻水等の症状を呈し、2月20日にけいれん・呼吸不全等の症状を呈して救急搬送され、翌21日に別の医療機関へ転院したこと。患者は発症の約1か月前から離乳食として市販のジュースにはちみつを混ぜたものを飲んでいたこと。患者ふん便および自宅に保管していたはちみつからボツリヌス菌を検出したこと。3月15日に足立保健所が「離乳食として与えられたはちみつ(推定)」を原因とする食中毒と断定し、3月30日午前5時34分に死亡したこと。本事案については、製品に1歳未満の乳児に与えない旨の表示がなされていたこと。 - 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版・こども家庭庁・PDF)(新しいタブで開きます)
蜂蜜は乳児ボツリヌス症を引き起こすリスクがあるため、1歳を過ぎるまでは与えないこと。国内初の蜂蜜を原因とする乳児ボツリヌス症による死亡事例が発生したこと。乳児ボツリヌス症は1歳未満の乳児が芽胞として存在しているボツリヌス菌を摂取し、当該芽胞が消化管内で発芽、増殖し、産生された毒素により発症するものであること。