赤ちゃんとこどもの安全ノート › 0〜3か月

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早く見つける

股関節脱臼(発育性股関節形成不全)

脚をM字に、おむつはおへその高さ。半年までに見つかれば入院治療の多くを避けられる

股関節脱臼は、事故とは違って「起きた瞬間」がありません。日々の抱き方・おむつ・衣類で起こりにくくでき、早く見つかるほど治療が軽く済みます。生後半年までに発見できれば、入院が必要な治療のほとんどを避けられるとされています。

股関節の姿勢の比較図。左は両脚がまっすぐ伸びてそろい、テープタイプの紙おむつが低い位置に当たって脚の付け根を締めつけている。右は両脚が自然にM字に開き、同じテープタイプの紙おむつのウエストがおへその高さにそろっていて、大人の手が両ひざに添えられている
左:脚が伸びて閉じた姿勢/右:M字に開いた姿勢。おむつはおへその高さに
  • すること:
    たて抱っこ(コアラ抱っこ)で、脚を伸ばさず股を開く
    よこ抱っこやスリング一枚の布や幅広の帯を肩から斜めにかけ、布のたるみの中に赤ちゃんを寝かせる抱っこ具。は股関節が内股に閉じやすいので、股が開くように気をつけます。
  • すること:
    おむつのウエストテープを、おへその高さにそろえる
    おむつが低いと太ももの開きが妨げられ、股関節の前外側に赤みが出ることがあります。つけたあと股を開き、外側への食い込みがないか確認します。
  • すること:
    おくるみは、上半身と手だけを巻く
    脚まで巻くと股関節が伸びた状態になります。脚は自由に開けるようにします。おくるみ自体が否定されているわけではありません。
  • すること:
    室内を暖かくして、薄着にする
    厚い防寒の衣類を重ねると、脚がまっすぐ伸びた状態で固定されます。部屋を暖かくして薄着にするほうが、脚が自由に動きます。股の間までボタンで留める衣類は、サイズが小さいと股関節の動きを制限するので、1サイズ上を選びます。
  • すること:
    股の開きの硬さと、太もものシワの左右差を見る
    ひざが床まで下りず、20度以上浮いたままになる(開排角度70度以下)、鼠径部や大腿のシワが左右で非対称。1回のチェックで判断せず、何度か見ます。
  • すること:
    気になったら、二次検診を受けられる施設を探す
    日本小児整形外科学会が、乳児股関節二次検診を受けられる「あかちゃんの股関節かかりつけ施設」の一覧を公開しています。健診で指摘されたときだけでなく、自分で気になったときにも使えます。
  • しないこと:
    健診1回で大丈夫と考えない
    全国調査では、歩行開始後に診断される例が年間100例近くあり、そのうち多くは健診を受けていたのに診断に至っていませんでした。学会は乳児健診を複数回チェックの「最後の砦」と位置づけています。

二次検診に紹介される基準

日本整形外科学会と日本小児整形外科学会は、乳児健診で次の5項目を見て、 専門医療機関(二次検診)へ紹介する基準を定めています。

  1. 股関節開排制限あおむけでひざと股を曲げ、脚を左右に開いたときに、途中までしか開かない状態。股関節脱臼を疑うサイン。 ── 股関節を90度曲げて開いたとき、開排角度が70度以下(開排制限あおむけでひざと股を曲げ、脚を左右に開いたときに、途中までしか開かない状態。股関節脱臼を疑うサイン。角度が20度以上)
  2. 大腿皮膚溝または鼠径皮膚溝の非対称 ── シワの位置・数・深さ・長さの左右差
  3. 家族歴 ── 血縁者の股関節疾患
  4. 女児
  5. 骨盤位おなかの中で赤ちゃんの頭が上、おしりが下を向いている状態。いわゆる逆子。分娩(帝王切開時の肢位を含む)

①が陽性なら紹介。または②〜⑤のうち2つ以上あれば紹介というのが基準です。 発症リスクは、家族歴で5〜12倍、女児で男児の4〜9倍、逆子で約5倍という報告があります。

当てはまるものがあれば、3〜4か月健診を待たず、 生後1〜2か月の保健師訪問や1か月健診で相談してください。 また、秋冬生まれに脱臼が多いことが知られており、防寒の衣類の影響が指摘されています。

向き癖があるときに見るところ

向き癖は約6割の赤ちゃんに見られ、3か月を過ぎると首の筋肉の発達で自然に改善することが多いとされています。 ただし、次のサインがあるときは注意します。

  • 向き癖と反対側の脚が立て膝になる
  • 片脚が伸びて開脚しない
  • 後頭部が扁平になる(斜頭同じ向きで寝る癖が続いて、後頭部の片側が平らになること。)
  • 股関節の開きが硬い

対策は、向き癖と反対側から接することです。 添い寝・授乳・抱っこをその側から行い、向き癖側の頭と体の下に折りたたんだバスタオルを入れて少し持ち上げます。 抱っこでは、向き癖と反対側の腕に頭をのせます。

🛍 グッズの選び方

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  • 抱っこひもは脚がM字に開く構造を選びます。脚がまっすぐ下にぶら下がる形は避けます。
  • よこ抱きのスリング一枚の布や幅広の帯を肩から斜めにかけ、布のたるみの中に赤ちゃんを寝かせる抱っこ具。は股関節が内股に閉じやすいので、使うなら股が開く姿勢になっているか確認します。
  • おくるみは腰から下がゆったりしたものを選びます。脚をまっすぐ固定する形は選びません。

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この項目の根拠
  • 赤ちゃんの股関節脱臼 ─ 正しい知識と早期発見のために(日本小児整形外科学会)(新しいタブで開きます)
    赤ちゃんはO脚で、カエルのようにお股をM字に開いているのが正常で、股関節の動きを自由にさせる扱いがよいこと。家族歴・女児・逆子という3つのリスク因子とその倍率、2つ該当する場合は専門医療機関での検査を推奨すること。たて抱っこ(コアラ抱っこ)、おむつのウエストテープをおへその高さにそろえること、股の間までボタンで留める衣類の注意、秋冬生まれに多く防寒の衣類の影響が指摘されること、おくるみは上半身と手だけを巻き脚は自由にすること。向き癖は約6割に見られ3か月を過ぎると改善が多いこと、注意すべきサインと向き癖と反対側から接する対策。開排制限と皮膚溝の左右差、複数回のチェック、乳児健診を最後の砦と位置づけること、診断の遅れは1万出生に1児程度。生後半年までに発見できれば入院が必要な治療のほとんどを避けられること。
  • 乳児健康診査における股関節脱臼 一次健診の手引き(日本整形外科学会・日本小児整形外科学会/AMED研究班・PDF)(新しいタブで開きます)
    二次検診への紹介基準(①股関節開排制限が陽性なら紹介、または②大腿皮膚溝・鼠径皮膚溝の非対称、③家族歴、④女児、⑤骨盤位分娩のうち2つ以上で紹介)、開排角度70度以下/開排制限角度20度以上という判定、全国実態調査で歩行開始後に診断される例が年間100例近くあり多くは健診を受けていたのに診断に至らなかったこと。
  • 股関節検診(日本小児整形外科学会)(新しいタブで開きます)
    日本小児整形外科学会が、乳児股関節二次検診を受けられる「あかちゃんの股関節かかりつけ施設」の一覧と、日本臨床整形外科学会の乳児股関節脱臼2次検診協力医師名簿を公開していること。「あかちゃんの股関節」ポスターを公開していること。