薬を飲むために、母乳をやめるべきか
多くの薬は母乳に移る量がごくわずか。説明書の「授乳を中止」だけで決めない
産後に熱を出したり、歯が痛くなったり、前から飲んでいる薬を続ける必要が出てきます。そのときに、薬をやめるか母乳をやめるかの二択で考えてしまいがちです。
国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターは、多くの薬は母乳に移る量が非常に少なく、赤ちゃんに影響する可能性は低いとしています。薬を飲んでいても母乳をあきらめなくてよく、母乳のために薬をやめる必要もない、と書いています。
- すること:やめる前に、授乳を続けたいと主治医か薬剤師に伝える
同センターは、個々の薬についての正しい情報をもとに、主治医と相談しながら決めることが大切だとしています。自分で結論を出す前に、続けたいという希望を先に伝えます。
- すること:説明書に「授乳を中止」と書かれていても、それだけで決めない
同センターは、添付文書の授乳に関する記載について、科学的な裏付けが十分ではない場合があることが分かっているとしています。2019年からは記載が変わり、多くの薬では「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」となりました。
- すること:迷ったら、電話かオンラインで相談する
同センターは、出産後の人を対象に、授乳中の薬の相談を電話とオンラインで受けています。事前の予約が必要です。
- すること:母親の体調を、母乳と同じ重さで考える
同センターは、我慢して薬を飲まないと母親の病気が悪くなって育児自体が難しくなるかもしれない、と書いています。薬のことだけを考えて決める問題ではありません。
- しないこと:一時的にやめればあとで戻せる、と考えて自分で止めない
同センターは、一時的な中止であっても、再開後に母乳の分泌量が落ちて、母乳育児を続けるのが難しくなる場合があると注意しています。
- しないこと:どの薬でも大丈夫、とも考えない
放射性アイソトープや抗がん剤のように、細胞毒性が考えられる薬は母乳栄養との両立ができないとされています。だから、自分で判断せずに聞きます。
月齢が進むと、影響はさらに小さくなる
同センターは、離乳食が進んだり、ミルクとの混合になって赤ちゃんが母乳を飲む量が減ると、薬の影響はより少なくなると書いています。
そもそも母乳はお母さんの血液から作られるため、飲んだ薬は母乳中にも出ます。ただし母乳に含まれる量はとても少なく、その母乳を飲んでも、赤ちゃんの血液に届くまでに量はさらに少なくなります。だから影響が出る可能性はとても低い、という説明です。
この項目の根拠
- 授乳と薬について知りたい方へ(国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター)(新しいタブで開きます)
多くのお薬は母乳中に移行するがその移行する量は非常に少ないことがわかっており、赤ちゃんに影響する可能性は低いこと。お薬を飲んでいるお母さんは母乳をあげることを必ずしもあきらめなくてはいけないわけではなく、母乳をあげるために必ずしもお薬をやめる必要もないこと。個々のお薬についての正しい情報をもとに主治医と相談しながら決めていくことが大切であること。母乳はお母さんの血液から作られ、飲んだお薬は母乳中に分泌されるが多くのお薬では母乳中に含まれるのはとても少ない量であり、さらに赤ちゃんの血液に届くまでに量はどんどん少なくなるため赤ちゃん自身に影響が出る可能性はとても低いこと。月齢が大きくなって離乳食がすすんだりミルクとの混合栄養などで母乳を飲む量が減るとお薬の影響はより少ないと考えられること。添付文書の授乳中の使用に関する項目に「授乳を中止」と記載されていても科学的な裏付けが十分ではない場合があることがわかっており、2019年から記載が変更されて多くの薬剤では「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。」と記載されていること。一時的な中止であっても再開後に母乳分泌量の低下がみられ母乳哺育の継続が難しくなる場合もあるため注意が必要であること。我慢をしてお薬を飲まないとお母さんの病気が悪くなって育児自体が難しくなるかもしれないこと。授乳中にお薬の服用が必要な人を対象に、出産後の人向けの電話またはオンラインでの相談を事前予約制で受けていること。
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